2008 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理アプローチによるナノ構造の電子・原子動的過程と励起状態の研究
Project/Area Number |
19540411
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
渡辺 一之 Tokyo University of Science, 理学部・第一部, 教授 (50221685)
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Keywords | ナノ構造の光吸収 / ナノ架橋構造の交流応答 / ナノ構造からの電界放射 / ナノ構造電子輸送 |
Research Abstract |
(1)TDDFT-MDによる外場励起電子状態が駆動する原子ダイナミクスのプログラム開発とその応用:H19年度に開発したTDDFT-MD法プログラムの計算精度を検証したのち、高強度超短パルスレーザーレーザーをH_2、N_2、CH_4分子に照射することで生じる分子解離シミュレーションに応用した。照射レーザーの強度、振動数、方向と解離確率に強い相関があることを見出し、それをもとに解離機構の電子状態起源を明らかにした。結果をまとめて論文に投稿する。 (2)ナノ架橋構造の交流応答関数の決定と交流等価回路によるモデル化:H19年度に、分子架橋の交流アドミッタンスを散乱波動関数の数値解と線形応答理論を組み合わせた方法により計算する手法を確立した。H20年度は、架橋構造にポルフィン分子、C_20の3つの異性体分子を選び、交流応答関数を計算した。それをもとに等価回路を構築した。架橋分子構造と等価回路の型に密接な関係があることがわかった。 (3)DFT+NEGF法によるナノ架橋構造の光誘起量子輸送の解析:窒素を不純物としてドープしたカーボンナノチューブに光を照射すると、電気伝導度が著しく増大することを、DFT+NEGF法で明らかにした。結果は論文に投稿中である。 (4)NEMD法による温度勾配下ナノ物質輸送のシミュレーション:カーボンナノチューブ内のフラーレンと外部をスライドするカーボンリングの熱勾配による運動をNEMD法で検証し、そのミクロな起原をフォノン波束法で明らかにした。ナノスケールの熱輸送から質量輸送への変換に関する重要な知見を得た。結果を論文として公開すべく、投稿論文執筆中である。
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Research Products
(25 results)