2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540412
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
冨田 成夫 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (30375406)
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Keywords | 放射線 / クラスター / 原子・分子 / 加速器 / 気候変動 |
Research Abstract |
平成19年度において確認したSO2による液滴生成の促進効果をより定量的に評価するため、当初の計画通り、加速器を用いた実験を継続して行った。特に、定量性を高めるためにビームモニター用のFarday Cupの改良を行い、種々のガス成分中での液滴の生成率を評価した。その結果、液滴収量は高エネルギー荷電粒子によって発生された初期イオン密度ではなく、再結合後のイオン密度に比例していることが実験的に発見された。これは高エネルギー荷電粒子による液滴生成過程においてのイオンの役割を示唆する重要な結果である。この結果については横浜で行われた国際会議において発表し、一定の評価を得た。 さらに、ガス成分の違いによる効果を確かめるためにN2、Ar、大気ガスの三成分に対して同じ実験を行い、生成される液滴のサイズ分布および終了についての比較を行った。現在、準備段階ではあるが、ガス成分による差は大きくないという結果が得られている。これはH2SO4の生成過程そのものにイオンの効果があることを示唆しているものだと現段階では考えている。この結果については現在追実験で確認中であり、確認されたのちには速やかに原著論文として発表する。 一方、上記の結果からイオンの役割の重要性は示唆されるものの、いまだ、H2SO4が放射線によって合成されたことによる中性での液滴生成の可能性を排除することはできず、イオンによる液滴生成の確たる証拠を得たとはいえない。これらのプロセスを明らかにするために我々はESIとの複合型の質量分析装置の開発を目指してきたが、上記のFCの改良などの計画の方向性の修正などにより、こちらの作業は残念ながら研究期間内に完成させることはできなかった。この装置の開発は今後も継続して行い、液滴生成のみではない種々の放射化学的研究に利用していく予定である。
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Research Products
(3 results)