2007 Fiscal Year Annual Research Report
アト秒レーザーパルスを用いた超高速原子過程の実時間分析と制御
Project/Area Number |
19540416
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
森下 亨 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 助教 (20313405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 信一 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (60210902)
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Keywords | 強レーザー / アト秒 / 電子相関 / イメージング |
Research Abstract |
32GB大規模メモリー搭載の64bit対応の高速計算機を購入し,電子の相関を効率よく取り入れることが可能である"時間依存超球座標緊密結合(TDHSCC)法"の開発および,高効率化を進めた.これにより,電子相関の強い多電子原子のレーザー場中での実時間ダイナミクスを見通しよく記述することが可能となる.ポンプ・プローブレーザーによる遷移確率等の物理量の予備的計算を行い,得られた結果の一部を学会において発表した. 関連する強レーザー場中の原子・分子のアト秒領域のダイナミクスとして,強レーザー場の揺さぶりによって生じる"再衝突電子"を利用した原子・分子イメージングに関する考察を行った.近赤外領域の高強度レーザーによる希ガス原子のイオン化の運動量スペクトルから,親イオンによる"自由電子"の弾性散乱断面積が高精度で抽出できることを示した.これにより,アト秒領域の原子・分子ダイナミクスで重要な「再衝突電子」に関する新しい知見を得た.得られた結果の一部を学術雑誌および学会において発表した. また,Siegert擬状態法による原子・分子のイオン化の新しい計算アルゴリズムの開発を行った.この方法は,有限空間での電子波束を数値的に扱う際に生じる境界からの反射を数学的に最も合理的に除去する方法であり,数理科学的な観点からの考察も行った.Shiegert法の応用として高強度のX線パルスによる模型原子のイオン化スペクトルを高精度で計算し,新奇な干渉構造を見出し,その分析を行った。得られた結果を学術雑誌および学会において発表した. さらに,得られた計算技術をもとに,ボーズ・アインシュタイン凝縮といった量子多体系についての数値計算プログラムの高効率化を進めた.
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