2007 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子・電子-分子衝突による共鳴経由する分子解離過程の比較
Project/Area Number |
19540417
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
季村 峯生 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (00281733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
数納 広哉 独立行政法人海洋研究開発機構, 計算システム計画・運用部, 研究員 (50399309)
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Keywords | 陽電子散乱 / 電子散乱 / 共鳴 / 分子解離 / 電子付着 |
Research Abstract |
平成19年度は、陽電子・電子による共鳴的分子付着機構の解明とそれにより生成する解離分子種の比較研究の準備段階として、理論開発および計算コード開発を行った。電子・陽電子と分子との相互作用を近似的に、静電相互作用+交換相互作用+分極相関相互作用、の3種の和で表すと、電子の場合、静電、交換、分極相関相互作用全て引力と考えられ強い引力となる。一方陽電子の場合、静電相互作用は斥力で分極相関は引力となり交換相互作用は無い。従って、全相互作用は静電の斥力と分極相関の引力が打ち消しあい弱い引力または斥力となり、電子と陽電子とではダイナミックスの様子が全く異なる。我々は、これらの相互作用を1つずつ注意深く調査し分極・相関相互作用についてのモデルを提唱したが、このモデルの電子理論・陽電子理論への組み込みを行った。幾つかの分子解離のチャンネルを取り扱えるように電子状態と核の運動を結合させたR行列によるclose coupling法を実施する準備を行った。すなわち、標的としての分子系を高精度で取り扱えるように、独国Buenker教授グループと共同で分子の電子付着状態と陽電子付着状態を高精度に取り扱うことが出来る量子化学計算コードをR行列散乱コードに組み込み、本申請課題の分子の多体複合系を取り扱う総合的汎用性の高い計算コードの作成を行った。この拡張型R行列法を、陽電子弾性散乱実験データおよび電子弾性散乱実験データが有る小さな分子系であるH_2とCOの2原子分子に応用し、得られた結果を検討しR行列法の精度の確認と応用上の問題点の洗い出しを行った。
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