2008 Fiscal Year Annual Research Report
振動冷却分子イオンを用いた解離性電子捕獲反応における3体効果に関する研究
Project/Area Number |
19540418
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
斉藤 学 Kyoto Prefectural University, 生命環境科学研究科, 准教授 (60235075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春山 洋一 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00173097)
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Keywords | 解離性電子捕獲 / 3体効果 / 静電型イオントラップ |
Research Abstract |
静電型イオントラップより取り出したHD^+イオンビームとガス標的の衝突実験装置、および電子捕獲衝突によって生成される中性解離粒子を測定するための2Dイメージング装置を設置した。目的の測定には、直径1mmの冷却イオンビームが必要である。このため当初、トラップより取り出したビームを収束させるためのレンズの設置を計画していた。しかし、コリメート法によって十分なビーム量をトラップから取り出せることがわかり、最終的にコリメーターを用いて直径1mmの冷却ビームを得ることに成功した。 次に、2keV HD^+イオンとAr標的の衝突実験を実施し、電子捕獲後の中性HDの解離エネルギー分布を測定した。この結果、以下の知見と課題が得られた。(1)静電型イオントラップから取り出した冷却イオンビームを用いて原子衝実験が可能なことを実証した。(2)解離エネルギー分布の測定結果から、トラップにおける蓄積によってHD^+イオンが振動冷却を起こしていることを確認できた。(3)ただし、全てのイオンを振動基底状態に冷却できていないことが明らかになった。これはトラップ内でのイオン蓄積時間が短いためである。目的の実験では振動基底状態にそろったイオンビームが必要であり、この改善のためには、トラップ内の真空度をさらに低くする必要がある。一方、真空度の改善が難しい場合には、振動冷却時間がHD^+イオンよりかなり短い分子イオン(HeH^+、OH^+)を用いることにする。
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