2009 Fiscal Year Annual Research Report
振動冷却分子イオンを用いた解離性電子捕獲反応における3体効果に関する研究
Project/Area Number |
19540418
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
斉藤 学 Kyoto Prefectural University, 生命環境科学研究科, 准教授 (60235075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春山 洋一 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00173097)
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Keywords | 解離性電子捕獲 / 3体効果 / 静電型イオントラップ |
Research Abstract |
静電型イオントラップより取り出した2keV OH^+イオンビームと酸素ガス標的の解離性電子捕獲反応実験を行い、中性解離粒子(0およびH)間の距離分布を2Dイメージング装置によって測定した。OH^+イオンを用いたのは、その双極子モーメントの大きさから、トラップの現状のイオン蓄積時間以内で振動基底状態に冷却することが期待されるからである。距離分布のデータより、以下の知見と課題が得られた。(1) 静電型トラップへの蓄積によって、振動基底状態に冷却しているOH^+イオンビームを作り出すことに成功していることが確認できた。(2) 励起中性OHが基底状態の0とHに解離するポテンシャルとして、3通りの解離性ポテンシャルが知られている。解離距離分布の解析より、電子捕獲過程によって生成された励起中性OHは、主にこの3通りの解離性ポテンシャルを通して解離していることがわかった、(3) イオンビーム入射軸に対する解離の方向依存性を解離距離分布より推測した。その結果、解離における異方性は確認できなかった。よってこの系においては解離に対する3体効果の影響は無視できると言える。(4) (2) および(3) の結果は、振動基底状態にそろえられたイオンビームを準備できたことによって初めて得られたものである。(5) その他の寄与の小さい励起中性OHからの解離を確認するには、3Dイメージング装置を用いた測定が必要である。またそれによって解離の方向依存性も直接測定できることになり、3体効果の確認の精度を上げることが可能になる。
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