2008 Fiscal Year Annual Research Report
フェルミ原子気体のBCS-BECクロスオーバー領域における擬ギャップの研究
Project/Area Number |
19540420
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大橋 洋士 Keio University, 理工学部, 准教授 (60272134)
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Keywords | 擬ギャップ / フェルミ原子ガス / 超流動 / BCS-BECクロスオーバー / 強結合効果 |
Research Abstract |
フェルミ原子ガス超流動のBCS-BECクロスオーバー領域における擬ギャップ現象について研究した。前年度用いたガウス揺らぎの理論は、擬ギャップ研究に欠かせない状態密度の下端に非物理的なピークを生じてしまうことが判明、これを克服すべくその原因を調べた。結果、ガウス揺らぎ理論を越えることが必須であると結論、超流動揺らぎの効果を無限次まで取り込めるよう理論を改良した。これにより非物理的なピーク構造は取り除くことができた。また、擬ギャップを計算するためには虚時間形式の理論を解析接続する必要があるが、これを直接実行する方法に加え、Pade近似でも計算できるようにし、2つの方法で計算のチェックをしつつ、全クロスオーバー領域における超流動転移温度以上の状態密度の計算を開始した。現在、クロスオーバー領域における状態密度の数値計算がほぼ終了、次年度にBCS側、BEC側の擬ギャップ状態を調べることで弱結合から強結合に至るまでの擬ギャップ状態の様子が解明できると考えている。現時点での計算結果から、クロスオーバー領域における擬ギャップ領域は転移温度以上のかなり広い領域に存在していることが判明している。 転移温度以下の擬ギャップ効果についても上述のようにガウス揺らぎ理論では状態密度の計算に大きな問題が発生するため、やはり近似レベルを上げる作業を実施、秩序パラメータと化学ポテンシャルを自己無撞着に計算するためのプログラムを作成した。 上記に加え、光学格子中でのフェルミ原子ガス超流動を扱うための定式化にも着手した。ハバードモデルの妥当性、バンド効果、超流動揺らぎと密度揺らぎの競合、格子の存在による準粒子トンネル効果についてそれぞれ研究、この系を理論的に扱うための評価を行った。
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