2007 Fiscal Year Annual Research Report
各種顕微分光法による膜破壊性ペプチドと膜との相互作用機序の解明
Project/Area Number |
19540425
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大場 哲彦 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (10250664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 和夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80115394)
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Keywords | 膜破壊性ペプチド / 顕微分光 / ミューラ行列イメージング / 膜流動性イメージング / 蛍光共鳴エネルギー移動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、我々の研究室でこれまで開発してきた膜流動性イメージング法とミューラ行列イメージング法、本研究で新たに開発する顕微分光法を組み合せて、本研究で新たに提案する「合成膜破壊性ペプチドの設計指針」に基づいて、膜破壊性ペプチドの脂質膜への作用機序を明らかにすることである。 初年度である本年度は、開発途中であるミューラ行列イメージング法の完成、新規に導入した顕微分光装置の基本特性の評価と分光ソフトウェアの開発、膜破壊性ペプチド合成を中心的な課題として行った。また、顕微分光でのターゲットのひとつである、蛍光共鳴エネルギー移動を指標とした膜とペプチドの相対的位置関係の検索を、バルクの試料を対象として蛍光分光法で行った。 ミューラ行列イメージング法の開発では、直線偏光子と波長板の組み合せで構築される一般化した偏光子と検光子を用いた偏光測定で現れる実験的諸問題をひとつひとつ明らかにした。特に、用いているフィルム偏光子の厚さの不均一性に由来する透過率の変化が、ミューラ行列測定の精度を規定していることを明らかにし、それを解析に取り込む方法を新たに導入した。 代表的な膜破壊性ペプチドであるメリチンのトリプトファン蛍光と、脂質膜に埋め込んだいくつかの蛍光プローブでの間の蛍光共鳴エネルギー移動を用いて、温度やメリチン濃度に依存したメリチンと脂質膜との相対的位置関係を検索した。その結果、ゲル相の膜ではメリチンは膜表面に存在し、液晶相の膜では膜内部に侵入することを示唆する結果が得られた。
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