2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540427
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 正明 Kyoto University, 原子炉実験所, 准教授 (10253395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 紀子 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90199290)
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Keywords | タンパク質 / 異常凝集 / αクリスタリン / 中性子小角散乱 / 高次構造 / 紫外線照射 |
Research Abstract |
今年度は、会合体形成機構の階層的な理解を目的として、1次構造上の変異が高次構造ひいては異常会合体も含む大規模会合体の形成に与える影響を明らかにすることを目的として研究を進めた。具体的には、まず、以下に示すラセミ化により高次構造に影響を与えていると考えられるアスパラギン酸残基を別の残基に置換したクリスタリンを調製した。(1.aAクリスタリンの150番のアスパラギン酸をアスパラギンに置換した変異体。2.aBクリスタリンの47番のアスパラギン酸をアスパラギンに置換した変異体。)これらの試料を用いて、アメリカ合衆国のロスアラモス国立研究所に設置されている中性子小角散乱装置(LQD)、茨城県東海村の日本原子力研究機構の研究用原子炉JRR3に設置されている中性子小角散乱装置SANS-Uを用いて、UV照射下での構造変化の研究を行った。その結果、アスパラギン酸置換はaAクリスタリン変異体に比べ、aBクリスタリン変異体の方が、構造変異に与える影響が大きいことが判明した。更に、UV照射による構造変化もaBクリスタリン変異体の方が大きいことが示された。ただし、aAクリスタリン正常体は、UV照射に対する耐性が強く、小さhによる凝集を起こさないことをこれまでの研究により明らかにしていたが、今回、aAクリスタリン変異体では、正常体と異なり、UV照射により凝集を起こすことが初めて明らかにされた。更に、これらの結果をより詳細に理解するための、小角散乱データの解析手法の開発も行った これらの成果は、一次構造上の変化が、2次・3次構造のみならず、サブユニット集合体である4次構造およびその物性にも影響を与えていることを示しており、大変意義深い。
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