2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540433
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
倉本 圭 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (50311519)
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Keywords | 水星 / 熱史 / 固有磁場 / 起源 / 原始惑星系星雲 / 混合距離理論 / ダスト / 熱源 |
Research Abstract |
1.原始惑星系円盤中のガス成分と固体成分(ダスト)の輸送を解く数値計算コードの開発をすすめた.付着成長と衝突破壊の釣り合いによるダストサイズの調節過程を導入し,ガス成分および固体成分の輸送計算を行ったところ,固体成分の内惑星領域への選択的な輸送が起こり,固体成分の動径分布が現在の惑星の質量から推定される冪分布へ時間とともに漸近することを見いだした.固体成分の漸近分布は,ガス成分および固体成分の初期分布にはあまり依存せず,これは惑星系の質量分布の起源を説明する新しい機構として有望視される.同時に内惑星領域ではガスに対してダストが数倍以上濃集することがもっともらしいことが明らかになった.円盤内縁領域は水蒸気や有機物由来の還元的な気相成分にも同時に富んでゆくと予想される.これは円盤内縁での固体成分の組成に大きく影響すると考えられる. 2.混合距離理論を用いた水星熱史計算コードの開発をすすめ,簡単な設定で水星熱史のパラメータスタディを行った.混合距離理論を用いることによって,惑星内部の粘性や組成などを中心からの距離の関数として任意に与えて熱進化を解くことが可能になる.非調和元素である長寿命放射性核種が地殻に濃集する効果について調べたところ,熱源が表層付近に集まることによって,内核とリソスフェアの成長が促進される働きがあることが分かった.今後の探査によって入手の期待される地形,重力,表面の放射性核種濃度のデータから,水星の熱史と核の対流の強さを制約できることを示した.
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