2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540433
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
倉本 圭 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (50311519)
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Keywords | 水星 / 熱史 / 固有磁場 / 起源 / 原始惑星系星雲 / マントル対流 / ダスト / 熱源 |
Research Abstract |
1.本計画で開発を進めた原始惑星系円盤中のガス成分と固体成分(ダスト)の輸送を解く数値計算コードを用いて円盤内の固体成分分布の進化をシミュレートした。原始惑星系円盤の天文観測、始原的隕石の酸素同位体組成の進化、現在の太陽系惑星の質量配置と整合的な固体成分の面密度分布は、円盤形成の開始からおよそ百万年~2百万年後に得られることが分かった。これは今後進展の期待される、より空間分解能の高い原始惑星系円盤の天文観測に理論予測を与えるものである。またこれにより水星に直接適用される円盤最内縁部への固体成分の輸送と組成についても重要な知見を得た。特に水星材料物質の酸化還元度については初期ダスト中の有機物量とガス降着率の時間変動が重要な役割を演じる。また水星物質の酸素同位体組成は地球の値に類似していると予想される。 2.流体力学計算による熱史計算に向けて、表面境界条件の検討を進め、日射の時間・緯度変化に加えて熱伝導率の温度依存性を考慮した表面の熱収支モデルを構築し、これを数値的に解くことによって水星表面の長時間平均温度分布を求めた。またこの境界条件を与える流体数値計算コードの開発を進め、予察的な計算結果を得た。項目1と併せて、この結果の他の固体天体の形成と進化の理解への意義についても検討した。 3.中心核ダイナモの数値コードの開発を進め、水星ダイナモの駆動源として考えられる組成対流と熱対流のうち、まず熱対流によるダイナモの発生を想定した数値シミュレーションを進めた。核表面の力学的な境界条件の違いが核の対流運動ひいてはダイナモ作用のパターンに及ぼす影響について調べ、核内において運動エネルギーに比して磁場エネルギーの小さな「弱磁場ダイナモ解」が存在することを新たに発見した。これは水星のような比較的弱い固有磁場を説明する可能性がある。
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Research Products
(10 results)