2007 Fiscal Year Annual Research Report
地震波による断層面の不均質性の解明に向けた理論的研究
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19540434
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村井 芳夫 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 助教 (40301931)
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Keywords | 断層破砕帯 / 亀裂 / 散乱 / 異方性 / 低速度層 / トラップ波 / 理論地震波形 / 地震波スペクトル |
Research Abstract |
2次元媒質中のSH波を仮定し、断層破砕帯として以下のモデルを考える。1.平行で同じ長さ2aの亀裂が周期的に分布する帯状の領域。2.1の亀裂分布は長波長極限では等価な異方性媒質と見なせるので、1の亀裂分布と等価な異方性を持つ帯状の領域。3.帯状の低速度層。4.低速度に加え1の亀裂分布と等価な異方性を持つ帯状の領域。5.平行で同じ長さ2aの亀裂が周期的に分布する低速度層。 以上のモデルに対して、断層破砕帯の中心に等方な線震源を仮定し、破砕帯のほぼ中心に観測点を置く。 1のモデルで、亀裂の数密度をνとすると、亀裂分布密度が高い時(νa^2=0.1)でも、断層トラップ波は生じなかった。入射波の半波長が亀裂長より短い時には、震源に近い観測点では亀裂からの散乱波が後続波として現れるが、遠い観測点での散乱波は微弱だった。2のモデルでは、断層トラップ波は生じず、散乱波も発生しなかった。したがってトラップ波を生成するためには、低速度になっている必要がある。3のモデルでは、周囲の速度が速い媒質を伝わってきた屈折波が初動として現れ、断層トラップ波が長周期の後続波として生じ、スペクトルを取ると低波数のピークを形成していた。散乱波は発生しなかった。4のモデルでは、3のモデルと同様の特徴を持っ波形になったが、断層トラップ波の部分の低波数のスペクトルのピークが3の場合に比べ二つに分かれた形になった。これは、波の伝わる速さが伝播方向によって変化するため、波の干渉の仕方が変わったためである。5のモデルでは、3の場合の波形の特徴に加え、震源から遠い観測点でも後続波として亀裂からの散乱波が観測された。スペクトルを取ると断層トラップ波に対応した低波数のピークに加え、kを波数とするとka〜1でスペクトルに高波数のピークが現れた。これは亀裂からの散乱波によるものと考えられる。
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