2009 Fiscal Year Annual Research Report
地震波による断層面の不均質性の解明に向けた理論的研究
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19540434
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村井 芳夫 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (40301931)
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Keywords | 断層破砕帯 / 亀裂 / 散乱 / 異方性 / 低速度層 / トラップ波 / 理論地震波形 / 地震波スペクトル |
Research Abstract |
大地震の断層として断層破砕帯を想定し、断層破砕帯として、水や軟らかい含水鉱物あるいは断層ガウジが存在し薄い低速度層を形成している場合、断層面に配向した微小な亀裂群が分布し速度異方性をもつ薄い層が存在している場合、断層運動が繰り返されたことによって帯状の領域に亀裂が非常に密に分布している場合、および以上のモデルが組み合わさった場合を考える。このうち、平行で同じ長さ2aの亀裂が周期的に分布する低速度層としてモデル化した場合に、モデルのサンプルや観測点によるばらつきを統計的に調べるため、断層破砕帯中に震源を置いて断層破砕帯中の多数の観測点で理論波形とスペクトルを計算し、多数の観測点でのスペクトルの平均値を計算した。次に、亀裂の数密度をνとすると、νa^2=0.1,0.075,0.05の場合にそれぞれ10通りの亀裂分布モデルを作成し、それぞれのモデルに対して多数の観測点でのスペクトルの平均値を計算し、それぞれのスペクトルの平均値から断層トラップ波に対応した低波数のピークと亀裂からの散乱波による高波数のピークを読み取り、10個の亀裂分布モデルに対するスペクトルのピークの平均値を求めた。その結果、低波数のピークの平均値は亀裂密度が高いほど振幅が大きくなっていたのに対して、高波数のピークはモデル間のばらつきが大きく、亀裂密度依存性がはっきり表れず平均値はほぼ一定になった。この結果を1992年Landers地震の断層破砕帯で得られたデータに適用し、破砕帯中と外側のS波速度をそれぞれ2km/s、3km/sと仮定すると、断層トラップ波のスペクトル形状を説明するモデルの例として、破砕帯の幅が約250m、卓越する亀裂長が約60m、亀裂の数密度がνa^2=0.12と求められた。 また、前年度に作成した1個の亀裂にP波の平面波が入射する場合に亀裂面上の相対変位を計算するプログラムの精度チェックを行った。
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