2008 Fiscal Year Annual Research Report
千島・日本海溝周辺における太平洋プレートの不均質構造に関する研究
Project/Area Number |
19540436
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
日野 亮太 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00241521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 誠一 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (00371724)
藤江 剛 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (50371729)
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Keywords | 海底人工地震探査 / 海洋性地殻 / スラブマントル / 地震波トモグラフィ / アウターライズ地震 |
Research Abstract |
平成20年度に学術調査船「白鳳丸」KHO7-3次研究航海により実施した海底人工地震探査のデータの解析を進めた. その結果, 2005年の宮城県沖のアウターライズ地震が発生した領域においては, 標準的な海洋性地殻よりわずかに地震波速度が低下していることが明らかとなった. 海溝陸側斜面の下では, スラブマントル内の地震波速度が低下している可能性が示された. これらの結果は, 海洋性プレートの地震学的構造が沈み込み過程で形成される正断層群に伴って改変されている可能性を示唆する(全員). また, 海底地震観測データを用いた地震波トモグラフィ解析を, 根室沖・青森県沖・宮城県沖・福島県沖の各地域について実施し, 海洋性地殻の高速度異常域が, プレート境界型地震の震源域に対応するように分布していることを見いだした(日野). また, 2005年の宮城県沖のアウターライズ地震の余震観測のデータ解析をさらに進め, この地震を生じた断層周辺のVp/Vs構造の推定をダブル・ディファレンス・トモグラフィ法を用いて行い, 最上部マントル内のVp/Vsは異常な値を示しておらず, 中南米沖のアウターライズ域で指摘されているような大規模なマントルの含水化は起こっていないと考えられる(日野)。また, 今年度は1933年に発生したM8.4の巨大プレート内地震の震源域の近傍のアウターライズ域において微小地震観測を実施した. この地震は2005年よりも規模が大きく, 海洋性プレート内の構造改変に対する影響が大きい可能性があり, 今後こうしたデータも研究に用いることにより, 日本海溝海側領域における地震波速度構造の解明を進める(全員).
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