2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540444
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡邊 了 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(理学), 准教授 (30262497)
|
Keywords | 電気伝導度 / 岩石物性 / 水 / 地殻 / 地震発生 / 流体圧 / 粒界 / 濡れ角 |
Research Abstract |
本研究の目的は,含水岩石の電気伝導度をクラック密度およびクラック開口の関数として明らかにし,地殻内部の間隙流体圧の推定を可能にすることである.次の2つの研究を進めてきた. 1. 封圧,流体圧を制御した含水岩石の電気伝導度測定 (1)物性測定用リードの改造:圧力容器の測定用リードを8本に増設し,2方向での弾性波速度測定(パルス透過法)と4電極法による電気インピーダンス測定とを同時に行えるようにした.リード取り出し方法の改良により油漏れはなくなった.また,同軸ケーブルの使用により良好な高周波信号が得られるようになった. (2)油圧-水圧変換機構の改造:本研究の大きな特徴は,電気インピーダンス測定と間隙流体圧の制御を両立させることである.含水岩石試料の電気インピーダンスを測定するためには,間隙流体(水)が圧力容器等の金属部分から絶縁されていなければならない.この絶縁を保ちつつ間隙流体圧を制御することが大きな問題であった,ここでは,油圧-水圧変換機構を介して,圧力容器外側のハンドポンプから加えた油圧で間隙流体の水圧を制御することを試みている.昨年度から試験を行ってきた変換機構では強度不足であったため,新たな変換機構を開発した. (3)雲母族鉱物の電気伝導度測定:雲母族鉱物は地殻物質中に多く存在する鉱物であり,その電気物性は乾燥岩石の電気伝物性を理解する上で不可欠である.本研究では,常圧高温(<800C)で黒雲母,白雲母,金雲母の電気伝導度を測定し,黒雲母がほぼ同じ結晶構造の白雲母,金雲母よりも桁で高い電気伝導度を示すことを明らかにした.これは,黒雲母中で等価なサイトを占める2価,3価の鉄イオンのホッピングによるものと考えている.この結果はアメリカ地球物理学連合秋季大会で発表した. 2. 狭い間隙に存在する水の物性 含水岩塩中を用いた電気インピーダンス測定のデータを解析し,濡れ角測定からは予測されない連結した粒界水の存在を明らかにした.このような粒界水の存在は,狭い間隙の水がバルクの水とは大きく異なる性質をもつことを示唆している.これらのことをまとめた論文がGeological Society of London, Special Publicationに受理された. 狭い間隙の水の挙動を調べるため,マイクロメータのアンビルを電極と使用し,ガラスやマイカシートに挟まれた塩化ナトリウム水溶液の誘電率を測定した.層厚のコントロールが不十分なためか,まだ有意な誘電率の変化は得られていない.
|
Research Products
(1 results)