2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540444
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡邊 了 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(理学), 准教授 (30262497)
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Keywords | 電気伝導度 / 岩石物性 / 水 / 地殻 / 地震発生 / 流体圧 / 粒界 / 濡れ角 |
Research Abstract |
本研究の目的は,含水岩石の電気伝導度をクラック密度およびクラック開口の関数として明らかにし,地殻内鄙の間隙流体圧の推定を可能にすることである.次の2つの研究を進めた. 1. 封圧,流体圧を制御した含水岩石の電気伝導度測定 電気インピーダンス測定と間隙流体圧の制御を両立させることが本研究の大きな目標であった.これを実現するため,われわれは,圧力容器外部のハンドポンプから加えた油圧で岩石間隙流体(水)の圧力を制御する"油圧―水圧変換機構"の開発に取り組んできた.過去2年間の試行錯誤を経て,今年度,プラスチック製ピストンを用いた油圧―水圧変換機構の開発に成功した.圧力0~150MPaの範囲における範囲で,変換機構テスト機の油圧―水圧の線形関係,再現性ともに非常に良好であり,ピストンの摩擦による油圧と水圧との圧力差も2~3%程度であった.現在,この変換機構を実際に圧力容器内に組み込むための実機の設計段階である. 本研究期間内に,封圧,間隙流体圧を独立に制御した電気インピーダンス測定を行うには至らなかったが,油圧―水圧変換機構の基本的なデザインを確立することができた.今後は,これを圧力容器内に組み込み,含水岩石の物性測定を進めていく予定である. 2. 狭い間隙に存在する水の物性 狭い間隙に存在する水の物性がバルク水とどのように異なるのか,物性を間隙の厚さの関数として明らかにすることが目標であった.水の構造を特徴づける物性として,水分子の回転しやすさを反映する誘電率に着目し,ガラスに挟まれた水の誘電率を測定した.その結果として,狭い間隙に存在する水の誘電率がバルク水よりも1桁低いという結果を得た.これは水―ガラス界面の影響により水分子の回転が阻害されるからと理解される.ただし,厚さの推定ができていないため,誘電率を厚さの関数として求めるには至っていない.この結果は,イギリスで行われた国際会議で発表した.
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Research Products
(5 results)