2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540450
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
福山 英一 National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention, 地震研究部, 総括主任研究員 (60360369)
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Keywords | 地震断層破壊 / 3次元断層形状 / X線CT画像 |
Research Abstract |
昨年度まで行った微細な断層構造の研究を応用するために、2008年5月に中国四川省で発生したWenchuang地震の初期発生モデルの構築を行った。本地震は、四川盆地の西端を南西から北東に約300km破壊が主に逆断層すべりとして伝播した地震である。しかしながら、発震点付近においては、地震直後の地質学的調査により、逆断層がほぼ平行に2枚走っており、それらをつなぐ共役断層が存在することがわかっている。このような断層形状は、跡津川断層コアに見られたミクロな構造と酷似している。そこで、まず、複雑形状の断層モデルを構築し、その断層モデルをもとに、すべり時空間関数を仮定して断層近傍における地震動を計算し、観測された強震記録との比較を行った。まず、InSARによる解析や現地における構造地質学的調査によって得られているWenchuan地震の複雑形状の断層モデルを構築した。断層形状に関する詳細なデータが得られなかったため、比較的単純なモデルを構築し、おおまかな断層運動を確定することを目的とし、2枚の逆断層とそこをつなぐ1枚の共役断層を用いて断層モデルを構築した。その断層モデルをもとに、すべり時空間関数及び破戒伝播速度を仮定して断層近傍における地震動を離散化波数法によって計算した。実際に観測された強震記録との比較を行い、あらからの破壊伝播の様子を得た。推定されたすべりモデルにおいては、2枚の平行した断層が多少の時間ずれは存在するものの、ほぼ同時に破壊伝播する必要があり、動力学的破壊シミュレーションにおいて、大きな制約条件を科することがわかった。通常、並行断層の場合、一方の断層の破壊がはじまると、他方の断層はすべりが抑制される応力場が形成されるが、この地震の場合は、2面の断層が同時に破壊している必要がある。この現象は、横ずれ断層には見られない逆断層特有の性質かもしれない。
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Research Products
(9 results)