2009 Fiscal Year Annual Research Report
海洋底深層掘削のコア試料を用いた応力計測に関する基礎研究
Project/Area Number |
19540453
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
林 為人 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 高知コア研究所, サブリーダー (80371714)
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Keywords | 応力計測 / コア試料 / 科学掘削 / 非弾性ひずみ回復法 |
Research Abstract |
国際統合深海掘削(IODP)の一つである南海トラフ地震発生帯掘削計画のような海洋底深層掘削プロジェクトが行われている.地震発生ならびに断層破壊の伝播挙動を理解するために必要不可欠な地下深部,特に断層近傍の応力の計測は困難で,これまで様々な手法は提案されたにもかかわらず,確実な手法が未だに存在しない.我々は掘削コア試料を用いた非弾性ひずみ回復法と称されるコア法を始め,掘削孔内イメージによるブレークアウト解析などの複数の手段を総合的に活用して,それぞれの長所を発揮し,短所を補い,応力を測定することを提唱している. 平成21年度は,南海掘削計画のステージ1において掘削船上で実施した非弾性ひずみ回復法による応力測定の結果をとりまとめ,地球物理の分野で引用率の高い国際誌に論文を投稿して,掲載された.また,引き続き,南海掘削計画ステージ2(H22年5-10月)においても,コア法と掘削孔内の検層イメージングによる応力測定を実施し,南海~東南海地震を引き起こす巨大断層の固着域(アスペリティ)の直上に位置する熊野前弧海盆の主応力方向を明らかにした.また,陸上においても四国ならびに紀伊半島における科学掘削のコア試料を用いた非弾性ひずみの回復を測定し,その地域の主応力方向分布の特徴を把握した.さらに,2008年に発生した中国四川大地震の断層掘削(WFSD)における非弾性ひずみ回復法の適用可能性の予備検討を実施し,適用できる可能性が大きいことがわかった.その結果,平成22年度から新規の科学研究費補助金を用いて,本格的な計測を始める運びに至った.
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Research Products
(5 results)