2007 Fiscal Year Annual Research Report
対流圏上層擾乱の挙動の力学的解明および地上擾乱との相互作用に関する研究
Project/Area Number |
19540455
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊賀 啓太 The University of Tokyo, 海洋研究所, 准教授 (60292059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新野 宏 東京大学, 海洋研究所, 教授 (90272525)
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Keywords | 圏界面波動 / 中間規模東進波 / シアー流中の中立波動 / 波の相互作用 |
Research Abstract |
本年度の研究では、圏界面付近に捕捉された波の「シアー流中の中立波動」としての基本的性質を明らかにして、その特性をまとめた。また、波どうしの相互作用によって生じる擾乱の振舞いについての数値計算シミュレーションによる結果も得た。具体的に得られた結果は以下のようにまとめられる。 1、渦位が一様ではない場合に、圏界面に捕捉された波の性質を調べる方法として、弱い熱的な散逸を考慮に入れた場合の中立波モードの性質を調べた。このような小さな散逸を考えると、渦位が一様な場合に通常の中立波に移行するような波は、これまで言われてきたような減衰率が極小になるモードではなく、減衰率が極大になるモードとして同定されることがわかった。これは系に弱い力学的な散逸を導入した場合に減衰率が小さくなるモードにあたり、また、波のエネルギー分配の観点から見ると、位置エネルギーより運動エネルギーに多くの割合のエネルギーを含む波を解析しているということもできる。この結果により、シアー流中の中立波動の性質を調べる一般的な方法が確立された。 2、上の方法を中間規模東進波の設定に適用し、この波の基本的な性質として、基本場のベータ効果に対する波動伝播の減速の依存性や、圏界面付近の渦位遷移層の厚さに対する波の伝播特性の変化を調べた。得られた性質は、単純な物理的考察から予想される傾向を定性的によく表しており、これら波の伝播特性に関する定量的な議論をすることが可能となった。 3、同じ様に成長するスケールの異なる波動が複数同時に存在する設定において、十分な時間が経過した後には、スケールの大きな波動が卓越するという傾向が、数値シミュレーションの結果として得られた。
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Research Products
(5 results)