2008 Fiscal Year Annual Research Report
熱潮汐波に着目した金星大気スーパーローテーションの研究
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19540457
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 征弘 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (00323494)
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Keywords | 金星大気 / 大気スーパーローテーショス / 大気放射 |
Research Abstract |
最新の分光データに基づく、金星大気に適用可能な放射輸送モデルを作成した。従来の放射モデルでは二酸化炭素による赤外線吸収係数の評価にVoigt線型や経験的なsub-Lorentz線型が用いられてきており、どのような線型を用いるのが適切かわかっていなかった。今回新たに開発した放射モデルを用いて、これまでに提案された二酸化炭素の吸収線型を組織的に再検討したところ、Fukabori et a1.(1986)またはMeadows and Crisp(1996)が適切であることが明らかになった。現在、放射モデルを力学モデルに導入し、現実的な金星大気シミュレーションを行う準備を進めている。 また、今回新たに開発した放射モデルを用いて金星雲の効果を検討したところ、雲層付近の高度における大気循環(雲層内での対流や平均子午面循環)に雲による太陽光吸収が非常に重要であることが示唆された。このため、金星雲の光学特性を考慮した精密な太陽光の散乱・吸収モデルの開発にも着手した。欧州の金星探査機Venus Express の観測によると、金星の雲層は時間的・空間的にかなり変動している。こうした雲の時空聞変動が大気循環に及ぼす影響についても研究を進める予定である。 これまでに得られた成果の一部は気象学会機関誌「天気」に掲載された。
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Research Products
(5 results)