2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱潮汐波に着目した金星大気スーパーローテーションの研究
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19540457
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 征弘 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (00323494)
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Keywords | 金星大気 / 大気スーパーローテーション / 大気放射 / 子午面循環 |
Research Abstract |
昨年度までに開発した、最近の分光データに基づく金星大気に適用可能な放射輸送モデルを用いて現実的な金星大気シミュレーションを行う準備として、平均子午面循環モデルと灰色大気の近似を用いた放射モデルを結合し2次元の大気循環の数値実験を行った。その結果、吸収係数の大きさが圧力に依存しない場合は浅い子午面循環、圧力の1次に比例する場合は深い子午面循環が得られた。前者は安定成層流体中の水平対流の理論(Kimura, 1975)によって子午面循環の深さがうまく説明できることがわかった。後者ではほぼ全層で鉛直対流が生じた。これは、吸収係数が下層ほど大きくなるので、放射平衡が断熱勾配を超えやすいためと考えられる。得られた南北温度差、流速の大きさはゴリツィンの次元則に基づく松田(2005)の見積もりとほぼ整合的であるが、従来のニュートン冷却を用いたGCMの結果(例えばYamamoto and Takahashi, 2004)ではこれらの値よりもかなり大きくなっている。現実の金星下層大気では、南北温度差が温度風バランスによって支えられている可能性があり、その場合は今回の結果よりも南北温度差は大きく、子午面循環の流速は小さくなると考えられる。したがって、この結果は、現実の金星大気の子午面循環が従来の数値実験による推定よりかなり小さいこと、熱潮汐波メカニズムが子午面循環によって妨げられず、現実の金星大気中でうまく作動する可能性があることを示唆している。 これまでに得られた成果の一部は学術雑誌Journal of Geophysical Researchに受理された。
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Research Products
(10 results)