2007 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋とインド洋の年々変動現象の関係に暖水プール変動が果たす役割の研究
Project/Area Number |
19540459
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根田 昌典 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (10273434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名倉 元樹 海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, ポスドク研究員 (10421877)
望月 崇 海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, ポスドク研究員 (00450776)
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Keywords | 暖水プール / ENSO / ダイポールモード / 4次元データ同化 / 大気海洋相互作用 / 水温変動 |
Research Abstract |
インド洋ダイポールモードの発生・発達過程において重要であると指摘されているダイポール東極を横切る定期航路上で得られた投下式水温計(XBT)データおよび4次元結合同化データを主に用いてダイポールモード発生年における東部熱帯インド洋の水温構造の時間的・空間的変動を解析した。解析期間は1990年から1999年の10年間である。定期航路に沿った熱収支解析の結果、5月から8月に海面熱フラックス偏差の水温偏差への寄与は小さく、沿岸湧昇の強化に伴って下層からの冷水供給が強まり急激な海面水温変動がもたらされた可能性が高いと考えられる。名倉の解析によって、この海上風偏差の強化は太平洋のENSOと関連していることが分かった。名倉は次いでENSOに伴う水温変動に対する熱輸送量の見積もりの誤差の要因について評価した(口頭発表2)。 航路上で得られた関係がダイポール東極領域全体の水温変動とどのように関係しているのかを、水温構造変動と海洋の熱収支に注目し、望月とともに4次元結合同化データを用いて検証した。水温変動の空間的な分布を調べた。ダイポール東極領域内の水温偏差には波動の伝播による影響が大きいことが示唆される。このときの海面熱フラックス偏差の分布を調べたところ、外洋域は海面冷却偏差であるが、スマトラ島・ジャワ島沿岸域は逆に海面加熱偏差であった。このように沿岸域と外洋域で大気と海洋の熱的相互作用が反転するのは、沿岸域の大きな海面水温負偏差によるものと考えられる。ダイポールモードの発生に海洋温度構造の変化が重要であり、東極領域内で平均的に海面水温偏差が海面熱フラックスによって変動するという効果は従来考えられてきたよりも小さいのではないかと考えられる(口頭発表1)
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