2009 Fiscal Year Annual Research Report
原子フィルターを用いた回転ラマンライダーによる赤道下層大気の気温観測
Project/Area Number |
19540465
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長澤 親生 Tokyo Metropolitan University, システムデザイン研究科, 教授 (80145664)
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Keywords | ライダー / 気温プロファイル / 原子フィルター / 赤道大気 / 境界層 |
Research Abstract |
地表面から境界層までの温度は、ラジオゾンデ以外のレーダー、RASS等では測定できない領域であり、ライダーによって初めて、高分解能の連続観測が可能になる。このようなライダー装置は世界でも限られており、赤道域での観測は未だ行われていない。本研究では、原子ブロッキングフィルターを新たに製作し、これを現在あるインドネシアのライダー観測施設にあるチタンサファイアレーザーと組み合わせて、地表面付近から境界層までの気温を昼夜観測できる回転ラマンライダー装置を構築し、定常的な垂直気温構造の観測を行い、赤道対流活動の詳細な解析を試みることを目的としている。当該年度は以下の成果を得た。1.本研究の要である原子フィルターのセル温度を一定に保つ温度コントロールシステムをインドネシアに持って行けるコンパクトなシステムに改良し、従来のシステムと同等の温度安定度(±0.1℃以下)を維持していることを確認した。2.2つの原子フィルターを、既存のチタンサファイアレーザー及び望遠鏡、フォトンカウンターと組み合わせ、大学内において高度分解能150m、時間分解能18分で気温観測を試みた。得られたデータをつくばのラジオゾンデデータと比較した結果、高度600mから2000mの範囲で良い一致を得た。3.インドネシア・コトタバンに設置してある共鳴散乱ライダーに用いているチタンサファイアレーザー及び受信システムを用いて気温観測を試みたが、天候不順のため十分な観測データは得られなかった。今後インドネシアにおける気温データを蓄積することにより、長期的な変動、climatologyの解析につなげることが期待できる。また、精度の検証のためにMUレーダーRASSとの同時比較実験を計画している。
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