2008 Fiscal Year Annual Research Report
長期再解析データによる人間活動を含めた陸域大気水循環の変動の評価
Project/Area Number |
19540467
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
谷田貝 亜紀代 Research Institute for Humanity and Nature, 研究部, 助教 (60353447)
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Keywords | 気候変動 / 水循環 / 環境変動 / 大気現象 / 水資源 |
Research Abstract |
ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)の45年再解析(ERA40)および昨年公開されたInterim再解析(ERA-interim)および日本の再解析(JRA25)と、推進費課題(APHRODITE project)で作成しているアジア地域の日降水量データを用いて、アジア地域のトレンド解析、水収支解析を行った。 インド南部の半乾燥地域について、水循環の経年変動とエルニーニョ、インド洋ダイポールモードとの関係について解析した結果はHydrological Processesに論文として掲載された(Geethalakshmi et al.(2009))。また、インド気象庁(IMD)と熱帯降雨観測衛星(TRMM)による降水見積もり(3B42)によりインド全域について予報解析研究を行った結果が気象集誌に掲載された(Krishnamurti et al.(2009))。 シベリアについて再解析(ERA40)と雨量計による降水量により水収支の季節変化を解析した(Takashima et al.,2009)。またヒマラヤ地域の水収支評価には降水量定量評価が最も重要な課題のため定量評価に注力した(Yatagai and Kawamoto,2008;谷田貝,2009)。 人間活動の影響については、温暖化との関係もあり中近東の乾燥地域が最も懸念されることが明らかになったため(Kitoh et al.,2008)、モデル評価、日降水量データ作成(Yatagai et al.,2008)、水収支変動解析を行い国際学会で成果を公表した(From Desert to Monsoons)。これまで中近東全体、インド全体、シベリア全体を対象とし、1000kmから数1000kmスケールの解析を行った結果、降水・水循環トレンドの支配要因は大規模な地形の影響を受けていることは知られていたが、トルコとイランではトレンドの空間スケールが全く異なること、一方で、逆に数100km以下の山岳の影響を受けたトレンドにも人間活動の影響が見られることがわかった。
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