2007 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀後半における全球海洋熱塩分膨張トレンドとその要因の解明
Project/Area Number |
19540468
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
安田 珠幾 Japan, Meteorological Research Institute, 気候研究部, 主任研究官 (80354471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 陽介 気象庁気象研究所, 海洋研究部, 研究官 (60343894)
松本 聡 気象庁気象研究所, 海洋研究部, 研究官 (00414516)
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Keywords | 気候変動 / 海面水位 / 海洋熱膨張 / 海洋大循環モデル / 海洋データ同化 / 海洋物理学 |
Research Abstract |
1.20世紀後半における海洋熱膨張トレンドを調べるため、気象研究所海洋大循環モデル(MRI.COM)を用いて20世紀後半の海洋変動を再現した。まず、大気再解析データの風応力・海面熱・淡水フラックスの20世紀後半の気候値を強制項として900年の積分を行った。次に、1958年から2001年までの大気再解析データを強制項として海洋大循環モデルを駆動し、20世紀後半の海洋変動を再現した。 2.20世紀後半の再現実験で得られた海洋水温データから0-700mの海洋熱膨張トレンドを計算した。その結果、全球平均海洋熱膨張の上昇トレンドは0.26mm/年となり、観測水温データから見積もられる値0.28mm/年とほぼ一致した。また、海洋熱膨張を求める際の基準とする深さの取り方による全球平均熱膨張トレンドの大きさの違いを調べた結果、全球海洋熱膨張は0-2000m深で最大で0.43mm/年の上昇トレンドであることが明らかとなった。 3.気象研究所海洋データ同化システム(MOVE)により、1949年から2005年までの全球海洋再解析データを作成し、海洋熱膨張トレンドや塩分変動による海面水位トレンドの大きさを計算した。全球海面水位トレンドに対する塩分の効果は、海洋大循環モデル実験の塩分データを用いて計算した全球海面水位上昇トレンドは0.02mm/年となり、全球海洋熱膨張トレンドの約10%であることが明らかとなった。 4.平成20年度は、平成19年度に得られた全球海洋熱膨張トレンドの要因について、「海面風応力による力学的効果」と「海面熱フラックスによる熱力学的効果」を明らかにする。また、全球海面水位トレンドに対する塩分の効果についても、「海面風応力による力学的効果」と「海面淡水フラックスの効果」を明らかにする。
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Research Products
(4 results)