2008 Fiscal Year Annual Research Report
初期島弧における海洋リソスフェアの再融解とボニナイトの生成に関する地質学的検証
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19540478
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高澤 栄一 Niigata University, 自然科学系, 准教授 (80222082)
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Keywords | オマーンオフィオライト / 上部マントル / 中央海嶺 / 部分融解 / 塑性流動 / かんらん岩 / ハルツバージャイト / 剪断帯 |
Research Abstract |
本年度はオマーンオフィオライト北部フィズ岩体の構造解析と全岩化学組成変化の検討を行った。野外で定方位で採取した岩石試料を室内で構造解析し,上部マントルの流動センスと方向を推定した。 その結果,モホ面近傍に凍結された粗粒等粒状組織の分布域では流動センスと方向に地域的な差異が確認された。すなわち,北部のWadi Rajmi地域からWadi Zabin地域にかけて上位側が南に流動するセンスが認められ,Wadi ZabinからWadi Fizh地域では上位側の流動方向が西に変化するが,岩体の南部では流動方向が再び南に向かう。粗粒等粒状組織分布域におけるマントル流動の特徴は,岩体東側で海嶺軸が北に進み,西側で別の海嶺軸が南に進むような重複海嶺の間に挟まれた海洋リソスフェアの時計回りの回転運動と調和的である。粗粒等粒状組織よりも構造的下位で分布するポーフィロクラスティック組織は南北方向の流動センスが特徴的である。一方,フィズ岩体に複数発達する北西-南東方向の剪断帯は粗粒等粒状組織とポーフィロクラスト状組織を共に横断しており、上記の重複海嶺に伴う回転運動よりも後期の変形運動によるものと考えられる。可能性としてはoceanic thrustingに伴うフィズ岩体全体におよぶ左ずれセンスの剪断変形が考えられる。剪断帯と平行に高枯渇帯(菅家・高澤2006)が存在するのはこのステージで沈みこむ海洋地殻から供給された流体によってリソスフェリックマントルが再融解したためと考えられる。ハルツバージャイトの全岩化学組成はモホ近傍から西側の基底スラストにかけてメルト成分のゆるやかな増加が認められた。この結果は中央海嶺で生じる融け残りマントルコラムモデルと調和的である。
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[Journal Article] Primary melting sequence of a deep (>250 km)lithospheric mantle as recorded in the geochemistry of kimberlite-carbonatite assemblages, Snap Lake dyke system, Canada.2008
Author(s)
Agashev, A. M., Pokhilenko, N. P., Takazawa, E., 他4名
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Journal Title
Chemical Geology, 255, 3-4, 317-328 255
Pages: 317-328
Peer Reviewed
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[Presentation] Geochemical variability of the Fizh mantle section, Oman ophiolite with relevance to paleo-ridge segment structure.2008
Author(s)
Takazawa, E., Kanke, N., Murakami, R., Satoh, R., Kanazawa, S.
Organizer
AGU Chapman Conference on Shallow Mantle Composition and Dynamics Fifth International Orogenic Lherzolite Conference
Place of Presentation
Mount Shasta, USA
Year and Date
2008-09-26
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