2009 Fiscal Year Annual Research Report
初期島弧における海洋リソスフェアの再融解とボニナイトの生成に関する地質学的検証
Project/Area Number |
19540478
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高澤 栄一 Niigata University, 自然科学系, 准教授 (80222082)
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Keywords | オマーンオフィオライト / 海洋リソスフェア / 上部マントル / かんらん岩 / 苦鉄質ダイク / 部分融解 / スピネル / 初期島弧 |
Research Abstract |
本研究はオマーンオフィオライトを初期島弧のアナログと見立て,初期島弧のステージでどのように流体がマントル内に流入し,海洋リソスフェリックマントルの再融解を引き起こしたのか,また,ボニナイトがどこで形成し,どのように上部マントルから地殻へ分離していったのか,これらの一連のダイナミクスを明らかにすることを目的とした。その結果,以下の3点が明らかになった。 [1]高枯渇領域と剪断帯の成因関係 フィズ岩体南西に位置する剪断帯にも高枯渇領域が見いだされたので,その延長に当たるヒルチ岩体で岩石を系統的に採取し,高枯渇領域の分布を明らかにする。今回の調査でヒルチ岩体の5本のワジ(枯れ沢)の踏査を行った。フィズ岩体南西部から連続する剪断帯にもダナイトとクロミタイトが多く,高枯渇帯の存在が示唆される。今後は化学分析を行ってその可能性を検証する必要がある。 [2]高枯渇領域に比較的多く分布するダナイトに着目し,高枯渇領域から分離したメルトの痕跡を見いだすこと フィズ岩体の高枯渇帯を精査したところ,大量のダナイトが分布することが明らかになり,高枯渇帯は「大規模なダナイト集中帯」であることが判明した。ダナイトは多量のメルトの流動と反応の結果形成されるもので,今後ダナイトに含まれるメルト包有物を検討し,通過したメルトの性質を明らかにする必要がある。 [3]高枯渇ハルツバージャイトと苦鉄質ガブロの微量元素含有量から,関与した流体の化学的特徴を明らかにする 誘導結合プラズマ質量分析計を用いて,マントルセクションに貫入した苦鉄質岩類の微量元素含有量を測定した。その結果,中央海嶺玄武岩の組成に類似したものと,それよりもかなり濃度の低いものの二つのグループが存在することが明らかになった。後者は,デタッチメントによる沈み込み帯の形成と関連性が示唆される。
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Research Products
(4 results)