Research Abstract |
珪藻や放散虫に含まれる,非晶質シリカ(SiO_2)に焦点をあて,本年度は珪藻についての基礎的なナノスケール構造の解析,並びに平成20年度以降に実施予定の珪藻の圧密実験のための準備を行い,以下のような成果をあげた。 1,試料の準備 珪藻試料の新規の採集は行えなかったが,予備的な採集済み試料がありそれを以下の研究に用いた。また,珪藻土については採集を行った。 2,試料の観察と化学組成 1,の試料について,光学顕微鏡、電子顕微鏡観察を行い,また化学組成について定性的な分析を行った。その結果,珪藻試料はほぼ純粋なSiO_2からなっていることを明らかにした。 3,ナノスケールの構造解析 珪藻試料について,X線回折測定及び赤外分光、ラマン分光測定を行い,珪藻殻はわずかな有機物とOH基及び水分子を含む非晶質シリカであることを明らかにした。また,X線回折データの低角度の散乱から,そのナノ構造はシリカガラスとは異なり,数十から100Å程度の構造単位を持つ可能性を示した。また,赤外分光測定の結果から,数Å程度の基本的な構造についてもシリカガラスとは異なり,シリカゲルに類似した構造であることを明らかにしたが,より詳細な点ではいくつかの相違点があり新しい構造的特徴を有する可能性を見出した。 4,珪藻の圧密実験の準備 珪藻の圧密実験に使用する圧縮試験機を,本研究費を用いて新たに整備した。また,この装置を用いた珪藻試料の圧密過程の測定システムについて検討を開始した。 5,本年度に得られた上記の成果,ならびに予備的な成果に基づき,珪藻のナノ構造とその加熱による変化について国際会議で発表を行い,その内容はプロシーディングスとして出版された。また,その他の成果の一部は,学術論文等にまとめた。
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