2009 Fiscal Year Annual Research Report
珪藻及び放散虫を形成する非晶質シリカ-有機物複合体の構造化学とその圧密挙動
Project/Area Number |
19540479
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
奥野 正幸 Kanazawa University, 自然システム学系, 教授 (40183032)
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Keywords | 珪藻 / 非晶質シリカ / ナノ構造 / 粉砕 / SiO_4四面体 / シリカゲル / オパール |
Research Abstract |
本研究では,珪藻や放散虫に含まれる非晶質シリカ(SiO_2)及びアミノ酸を中心とする有機物の複合体について,そのナノ構造や圧縮による構造変化を明かにしょうとしてきた。平成21年度は,昨年度に引き続き珪藻の培養を試みた。また,珪藻及び放散虫のナノ構造の解析などの研究を実施するとともに,得られた成果を発表した。 1.珪藻試料の培養について 幾つかの珪藻について培養を試みたが,十分な珪藻試料を得ることができなかった。そのため,圧縮試験機を用いた圧密実験は実施できなかった。そこで,昨年度実施した,珪藻土を用いた機械的圧縮実験をもとに,珪藻の圧密について再度考察を加えた。 2.珪藻を構成する非晶質シリカとシリカゲル等の構造比較 今回,珪藻土から抽出した珪藻殼の赤外吸収スペクトル,X線回折データと昨年度までに得られているシリカゲルについての結果との比較を精密に行った。特にX線回折測定の結果より,珪藻殼はシリカゲルとシリカガラスの中間の特徴をもつことを明らかにした。このことはSiO_4四面体の4員環構造と6員環構造の特徴を持つことを示すものである。 4.珪藻試料の圧縮についての考察 珪藻土から抽出した珪藻を,昨年度機械的粉砕した試料についてのX線回折測定及び赤外スペクトルを精密に解析したところ,珪藻殼は粉砕により,粉砕シリカゲルよりFSDP(第一回折ピーク)位置が大きく変化することを明らかにした。このことは,粉砕による珪藻殼の構造単位の縮小もしくは高密度化を示すものと思われる。 5.研究成果の発表 まず,本研究で得られたシリカゲルの機械的粉砕に伴う研究などを、日本鉱物科学会等で発表した。また、関連して実施したシリカガラスの粉砕、ならびに珪藻やシリカゲルに類似したオパールの圧縮ならびに加熱変化についての成果は国際会議等で発表を行うとともに,学術論文として発表した。
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Research Products
(5 results)