2007 Fiscal Year Annual Research Report
せき止め湖堆積物を用いた大規模斜面崩壊の規模・周期性の推定と被害軽減手法の開発
Project/Area Number |
19540480
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小嶋 智 Gifu University, 工学部, 教授 (20170243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 和博 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (90111624)
大谷 具幸 岐阜大学, 工学部, 准教授 (20356645)
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Keywords | 自然災害 / 地すべり / 斜面崩壊 / 地震 / 防災 |
Research Abstract |
平成19年度には、富山県の桐谷・小井波・縄が池、三重県の池ノ谷、岐阜県の奥矢作などで調査・試料採取を行った。特に、縄が池と池ノ谷ではハンドオーガーボーリングを行い、せき止め湖堆積物試料を採取した。これらの調査および試料解析の結果、次のような事項が明らかとなった。 1.小井波では1977-79年に農地改良事業が行われ、その際多くの根株が掘り出された。これらの根株は、別荘川が大規模地すべりによりせき止められて形成されたせき止め湖に水没した森林の遺物と考えられる。この根株の14C放射年代測定を行い、おおよそ縄文晩期〜弥生早期にあたる2475±30BPという年代を得た。この地すべりの誘因は明らかではないが、もしそれが地震によるものであり、その地震が既存の活断層によるものであるとすると、それは跡津川断層の活動によるものである可能性が高い。 2.縄が池から得られた厚さ約2mの泥層の組成は、その上部約1mが植物根を主体とするのに対し、下部約1mは細粒有機物、砕屑粒子などからなる。これは下部がせき止め湖時代、上部がせき止めが終了した後の湿地帯時代の堆積物であることを示している。今後は、これら泥層に含まれる植物片の14C放射年代測定を行う予定である。 3.池ノ谷から得られた厚さ約3.5mの砂質泥層中には、地表面から約1mの層準におが屑が挟まれていた。池ノ谷湖畔には、大正時代に製材所があったことが知られており、このおが屑より上位の砂質泥層の平均堆積速度を見積もることができる。この速度を利用すると、厚さ約3.8mの砂質泥層が堆積するには数百年を要したことがわかった。
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Research Products
(1 results)