2008 Fiscal Year Annual Research Report
琵琶湖周辺域における高分解能気候・水収支変遷史解明
Project/Area Number |
19540483
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井内 美郎 Waseda University, 人間科学学術院, 教授 (00294786)
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Keywords | 環境 / 変遷史 / 水収支 / 湖沼 / 琵琶湖 |
Research Abstract |
本研究では、音波探査記録や堆積物含砂率に示される湖水面高度変化の情報と堆積物の生物源シリカ濃度に示される年間平均気温の情報を明らかにし、気候変化と水収支の対応関係を明らかにすることを目的とする。モデルフィールドを琵琶湖に設定し、既存のボーリング試料と音波探査記録について、これまでより高時間分解能で解析を行う。 前課題で問題となったことのひとつが、琵琶湖内4地点で採取された試料の分析最適条件(生物源シリカ濃度測定の際の試薬濃度や生物源シリカの溶解時間など)の設定であった。19年度は改めて分析の最適条件を設定するための予備的実験を行った。珪藻殻の溶解状態を確認するために、一定時間毎に溶液中の懸濁粒子のスメアスライドを作成し、検鏡した。その結果、90分で珪藻殻が消失することを確認した。20年度は改めて4地点の柱状試料について生物源シリカの分析を行い、琵琶湖に近い気象観測地点である彦根測候所の気象観測データとの相関を検討した。その結果、年平均気温、春季から秋季の平均気温との相関が高いことが明らかになった。これは植物プランクトンの1種である珪藻のブルーム時期の気温を示すものであり、堆積物中の生物源シリカ濃度が湖内の1次生産量を示す指標になっているものと推定された。その他の気候指標、例えば、平均風速や降水量、日射量についても検討したが、有意な相関は見られなかった。高分解能での分析を前提とした分析試料作成のため、古地磁気試料ケースに保存されている試料について試料採取間隔をあげたサンプリングを行った。20年度は前年度に引き続き、細心の注意を払ったサンプリングを継続した。
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