2010 Fiscal Year Annual Research Report
琵琶湖周辺域における高分解能気候・水収支変遷史解明
Project/Area Number |
19540483
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井内 美郎 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00294786)
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Keywords | 環境 / 変遷史 / 水収支 / 湖沼 / 琵琶湖 |
Research Abstract |
研究目的:本研究では、音波探査記録や堆積物含砂率に示される湖水面高度変化の情報と堆積物の生物源シリカ濃度に示される年間平均気温の情報を明らかにし、気候変化と水収支の対応関係を明らかにすることを目的とする。 研究方法:モデルフィールドを琵琶湖に設定し、既存のボーリング試料と音波探査記録について、これまでより高時間分解能で解析を行った。特に本年度は生物源シリカの分析に重点を置き、古地磁気測定用のプラスチックケースに保存されたボーリング試料について、内部を上下に2区分してサンプリングを行い、それぞれについて分析を行った。 研究成果:日射量変動との関係では、5センチメートル間隔で分取された試料について生物源シリカ濃度の測定を行い,過去約14万年間の変動を明らかにした.その結果,グリーンランド氷床コアや中国の洞窟の石筍記録に示されるハインリッヒイベントやダンスガードーオシュガーサイクルが確認できた.同じ試料についてミランコビッチサイクルに相当する周波数を調べた結果,約23,000年の歳差運動周期が確認された.同じく日射量変動曲線との対応を検討した結果,多少のラグを見込めば日射量変動との高い相関が示された. 周期性の検討では、REDFIT3.5(Schulz and Mudelsee,2002)を用いて周波数解析を行った.本研究での平均分解能が48年であるので,200年以下の周期性については議論していない.信頼度80%以上のスペクトル密度を示す周期を有意な周期とした結果,4200年から230年に亘る16の周期が確認された。その主なものは太陽活動の周期・日射量変動周期・海洋循環周期である.一方、琵琶湖における音波探査記録の解析の結果、古湖水位は数千年のラグをもって夏季日射量変動と調和的であるということが明らかになった。
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