2007 Fiscal Year Annual Research Report
直下型地震の深部過程としての領家変成帯の変形過程の解明
Project/Area Number |
19540485
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
奥平 敬元 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (20295679)
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Keywords | 変形過程 / 直下型地震 / 震源過程 |
Research Abstract |
本研究課題である、直下型地震の深部過程としての領家変成帯の変形過程の解明において欠く事の出来ないものは、変成帯形成期の変形とそれ以前(付加体形成期)の変形の識別である.そこで19年度は、領家変成帯の源岩と考えられている美濃・丹波帯における、付加体形成期(ジュラ紀)の変形作用の特徴を明らかにする事と、領家変成帯における変成作用期(白亜紀中期)の変形構造の認識に重点をおいた研究を行なった. 研究対象地域は、美濃・丹波帯と領家変成帯が連続的に分布している、山口県笠戸島および京都府・奈良県県境に位置する和束地域とした.両地域において、詳細な地質調査と系統的な試料採取を行ない、採取された岩石試料(礫質泥岩、メタチャート)に含まれる砂岩礫や放散虫化石を歪みマーカーとした歪み解析を行ない、付加体形成期の変形と領家変成作用期の変形の識別を行なった. その結果、メタチャートに含まれる放散虫化石の変形は主に変成作用期のものであるのに対して、礫質泥岩に含まれる砂岩礫の変形は付加体形成期の変形と変成作用期のものが重複したものである事が明らかとなった.変成作用期の変形は平面歪み〜一軸圧縮型の歪みモードを示し、これは従来言われてきた事とは大きく異なり、領家変成帯の変形過程の解明において重要な発見となった.従来は、変成作用期の変形は一軸伸長型と言われてきたが、この一軸伸長型の歪みモードは、主要な変成作用後の鉛直摺曲作用が重複した結果であることも明らかにされた.また、平面歪み〜一軸圧縮型の変形作用における、歪みの最大伸長軸は変成帯の伸長方向(島弧方向)と平行であり、このような歪みモードや主軸の配置は、島弧に平行な剪断作用の結果であり、この剪断作用は白亜紀における中央構造線の発生と関連している可能性が高い事が明らかとなった.
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