2008 Fiscal Year Annual Research Report
台湾南西沖冷湧水炭酸塩岩形成へのメタンハイドレートの影響評価
Project/Area Number |
19540488
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
町山 栄章 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 高知コア研究所, サブリーダー (00344284)
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Keywords | メタンハイドレート / 地質学 / 地球化学 / 海洋探査 / 深海環境 / メタン湧水 / 国際情報交換 / 台湾 |
Research Abstract |
研究対象としたFormosa Ridgeは、南シナ海大陸斜面北部が海底浸食によって形成されたものである。音波探査データの検討から、堆積層はほぼ水平に累重しており、斜面下部側に傾斜する正断層がいくつも発達していることが確認された。海底下400〜500ms(往復走時)に明瞭なBSRが発達しており、このBSRで示されるメタンハイドレート層がリッジ両側に分布することでキャップ構造をなし、ガスをトラップしているものと推定される。すなわち、地質構造規制を示ず"リッジ型"のメタン移動・集積メカニズムであることが明らかとなった。また、メタン湧水・自生炭酸塩岩の分布するリッジ頂部直下には、ガス貯留層へ通じる鉛直の流体通路が発達しており、これが現在のメタン湧水の起源であることが確認された。一方で湧水域周辺では、自然ガンマ線の異常値が検出されたものの、地殻熱流量計測結果はBSR深度と整合的であり、深部からの流体移動は局所的であることが示唆される。 現在噴出するガスのメタン/エタン比は7600以上、メタンの炭素同位体比は-70‰前後であることから、メタンは微生物起源であることが確認された。また水素同位体比の検討からメタン形成のパスは二酸化炭素還元であることが明らかとなった。 自生炭酸塩岩は、海底表層を覆うペイブメントや岩塊状として産する。ミクライト・脈状を示す方解石等の炭酸塩鉱物は、-40〜-55‰・4‰前後の、炭素・酸素同位体比を示す。したがって、自生炭酸塩岩形成にメタン湧水が関与し、その一部は重い酸素同位体比をもつ流体の存在、すなわちメタンハイドレートの分解水の関与が判明した。炭酸塩のウラン年代は約5.5万〜9万年前であり、主にこの時期に活発に形成されたと考えられる。また、この分解現象はグローバルな変動ではなく、テクトニックな影響ではないかと予想される。
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Research Products
(6 results)