2008 Fiscal Year Annual Research Report
微小ビトリナイト粒子による断層付近温度マップ分析技術の開発
Project/Area Number |
19540489
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
坂口 有人 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, 技術研究主任 (80304666)
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Keywords | ビトリナイト反射率 / 微小部反射率測定 / 温度マッピング / 断層 / 摩擦熱 |
Research Abstract |
ビトリナイト反射率は表層から300℃程度までの優れた地質温度計であるが,従来は石炭のみからなる試料の平均的な値しか分析できなかった.本補助金での研究の結果,従来よりもはるかに微小で,かつ不均質な試料中の温度分布マッピングが可能な分析機の開発に成功した.試料の前処理,ビトリナイトの同定方法,新開発の分析装置に分けて説明する. 試料の前処理:従来はビトリナイトを含む試料を破砕・単離した後に琢磨して測定試料としていた.これを破砕せずに琢磨することで産状情報を保持した. ビトリナイトの同定方法:従来は石炭化過程におけるゲル化によって源植物の細胞組織が失われている点が基準だったため,細胞組織サイズより小さな破砕片の判別はできなかった.しかし産状が保存されている場合は,ゲル化したビトリナイトが周辺砕屑粒子の隙間に入り込むため,注入構造の有無で判別できる. 分析装置:従来の顕微測定装置は,観察用のケラー式照明を分析にも兼用していた.そのため光束を100μm程度までしか絞れなかった.石炭のみを単離した試料ならこれでもいいが,石炭のみを単離していない試料の場合は,高輝度鉱物の散乱光ノイズが問題となる.そこで分析用にクリティカル照明装置を併設し,観察と分析の照明を独立させた.その結果,広域の観察と,約1.6μmまで微小部測定が両立可能となった.このクリティカル照明は,半導体検査顕微鏡や共焦点顕微鏡といった特殊用途に開発されたもので,これを一般的な落射顕微鏡に適用したことがポイントである.
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