2009 Fiscal Year Annual Research Report
高塩濃度・高二酸化炭素濃度地殻流体の起源と同流体の状態および誘電率の解析
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19540508
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
星野 健一 Hiroshima University, 理学研究科, 准教授 (80190198)
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Keywords | 地殻流体 / 誘電率 / 溶解度 |
Research Abstract |
高温・高圧のH2O-NaCl系溶媒中の石英の溶解度から,地質学的解析に最も広く用いられているSUPCRT92 (Johnson et al., 1992)の熱力学的データに整合的な溶媒の実効誘電率を見積もるアルゴリズムを開発した。これに基づき,これまで報告されている実験データからの内・外挿により,0.5kb, 1kbおよび2kbでの300~500℃における1規定のNaCl溶液の実効誘電率を求めた。その結果,溶媒の誘電率はNaClの溶存種がNaCl(aq)からNa++Cl-に解離する温度付近で急激に変化することが示された。MIX99 (Hoshino et al, 2000)にこの誘電率を組み込んだ水-岩石相互作用のシミュレーションにより,今回の研究で求めた実効誘電率が既存の熱力学的データと整合的であることが確認された。 以上の結果を,地球惑星科学連合2009年度大会(千葉県幕張市)およびGoldschmidt 2009 (Davos, Switzerland)で発表し,解析手法の正しさとユニークさを確認した。 更に,この誘電率を組み込んだMIX99により,1kbにおける流体の温度降下に伴う水市岩石相互作用のシミュレーションを行ったところ,石英に飽和した岩石では350℃付近で急激に岩石中の割れ目が充填されることが示された。一方,石英に不飽和な岩石ではこのような急激な割れ目充填は生じない。このことは,裂かを充填する鉱物としては石英が圧倒的に多いことと,脈の形成温度が300-400℃付近に集中する事実と調和的である。
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Research Products
(9 results)