2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540510
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
壷井 基裕 Kwansei Gakuin University, 理工学部, 准教授 (60411774)
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Keywords | 花崗岩 / 同位体 / 領家帯 |
Research Abstract |
平成21年度は、本課題研究の最終年度であり、これまでに得られた領家帯花崗岩類の全岩化学組成分析、鉱物化学組成測定による定置圧力解析、ストロンチウム同位体測定データの統合解析作業ならびに花崗岩マグマの形成と定置モデルの検討を重点的に行った。また、2009年7月24日から7月26日までと7月30日から31日までの間、名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻微量分析クリーンラボラトリーにおいてストロンチウム同位体分析実験ならびに研究の打ち合わせを行った。その結果、中部地方領家帯神原トーナライトのマグマプロセスについて以下のことが明らかになった。1.神原トーナライトは大きく分けて幡豆、下山、天龍の3岩体として存在するが、定置圧力は幡豆岩体が最も高く(7.3-7.7kbar)、下山と天龍岩体は大きな差が認められない(下山:1.6-4.4kbar天龍:1.5-4.0kbar)こと、2.領家変成岩類を様々な程度に同化した可能性が高いこと、3.母マグマと変成岩の混合比は天龍岩体で3:7、下山岩体で8:2であること、4.下山岩体ではSr初生値が母マグマより高く、かつ岩体内でほぼ均質であることから、花崗岩マグマが変成岩類をほぼ20%程度同化し、均質化した後定置した可能性が高いこと。以上については、日本地質学会第116年学術大会(岡山理科大学)で発表した(壷井・淺原,2009)。また、領家帯花崗岩類における先行の同位体研究との比較から、Sr初生値の岩体内不均質はほぼ普遍的に存在しており、その原因として(1)起源マグマ自体の同位体不均質(2)マグマ混合(3)変成岩類の同化の3種存在することを明らかにした。そして、本研究について3年間の研究成果をまとめ、国際学術雑誌であるJournal of Mineralogical and Petrological Sciencesに論文として公表した。
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Research Products
(7 results)