2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19540511
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
山口 亮 National Institute of Polar Research, 研究教育系, 助教 (70321560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 充 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (10152000)
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Keywords | エコンドライト / 鉱物学 / 宇宙化学 / 微惑星 |
Research Abstract |
ユークライトは太陽系最古の溶岩としてしられ、原始惑星の生き残りとして知られる小惑星ベスタの表層地殻を構成していたとされる。玄武岩質ユークライトは、その全岩化学組成から二つの化学トレンドを持つことが知られている。一つのトレンドは、初期に形成されたマグマ大洋の結晶分化から推定されるトレンドと一致する。しかし、もう一つのトレンドはこのマグマ大洋モデルでは説明できなかった。今回の研究で、このトレンドは、高温変成作用により地殻下部が部分溶融を起こし、その溶融液が上昇中のマグマを汚染したためにできた可能性が高いことを示した。この結果は、論文にて報告した(Barrat, et. al. 2007)。現在、熱変成作用を受け、部分溶融をした可能性の高いユークライトについて研究中である。結果の一部学会で報告した。高温変成作用を受けたユークライトのジルコンのHf-W年代を決定し、これらのユークライトは、金属鉄と珪酸塩分離後数百万年以内に固化したことを明らかにした(Srinivasan, et. al. 2007)。また、後期に加熱を受けたユークライトも見つかった。 月の裏側起源の斜長岩質角礫岩(Y-86032)の玄武岩石片の岩石学的研究を行った。以前の研究で決定された放射年代から角礫岩の年代から、この玄武岩片の結晶化年代は38-42億年以前と推定される。この玄武岩は、月でもっとも古い玄武岩の一つということになる。この玄武岩の主要元素は表側起源のKREEP玄武岩に類似するにもかかわらずインコンパチブル元素(KREEP元素)に欠乏している。これは、玄武岩のソースあるいは上昇経路にKREEP層が存在せず(Yamaguchi, et. al. 2008)、月の表側と裏側の地殻構造の違いを間接的に示すと考えられる。結果の一部を学会にて報告し、論文を執筆中である。
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Research Products
(3 results)