2009 Fiscal Year Annual Research Report
ガス導入プラズマ電力シーケンス制御による低誘電率フッ化炭素絶縁膜異種構造積層堆積
Project/Area Number |
19540517
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅原 広剛 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (90241356)
|
Keywords | 低誘電率材料 / プラズマCVD / 誘電体 / 薄膜堆積 / フッ化炭素 / 耐熱性 |
Research Abstract |
プラズマCVD法により非晶質フッ化炭素誘電体膜(CF膜)をSi基板上に堆積する際、プラズマ電力の大小により原料のC_8F_<18>直鎖状分子の分解度を変え、CF膜の構造や特性がどう変わるかを調べた。また、CF膜積層時のプラズマの熱の影響を検討した。CF膜堆積時のプラズマ電力を従来の標準200W(電力密度2W/cm^3相当)から20W(0.2W/cm^3)まで低くするにつれ、CF膜の比誘電率が下がる傾向が見ちれた。プラズマ電力20Wで堆積したCF膜についてエリプソメータによる屈折率測定結果から算出した比誘電率は平均約2.4で、1.9~2.7の範囲にばらついていた。原料のC_8F_<18>分子の分解が進まず元の直鎖分子形状をある程度保った成膜前駆体がCF膜を形成することでF原子を多く含み誘電率が低くなると考えられる。比誘電率2.65程度とされる既存の低誘電率材料より低い比誘電率が得られることがある点は有望である。ばらつきをなくし低誘電率を安定的に再現するためのプロセス改善が課題として残されている。次に、堆積時間を変えて堆積したCF膜をX線光電子分光法により分析し、CF膜内の化学結合の様子と耐熱性との相関関係を調べた。プラズマ電力100Wにおいて堆積時間30秒と短時間で堆積したCF膜は炭素原子間のC-C結合に起因する束縛エネルギー285eVにおけるピークが弱く、融解温度は310℃と耐熱性が低かった。堆積時間を3分、5分と長くするとC-C結合が次第に増え、融解温度も350℃、400℃と上昇した。プラズマからの影響(加熱)を受ける時間が長くなることでF原子の脱離が起こると考えられる。この結果は低電力ではC_8F_<18>分子の分解が進まないため分子鎖間の結合が疎になるとの説明にも合致する。堆積時の基板温度の測定結果から、基板温度制御の必要性が示唆された。
|