2008 Fiscal Year Annual Research Report
イオン源カスプ磁場におけるプラズマ損失の理論及びシミュレーション
Project/Area Number |
19540526
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
深野 あづさ Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology, ものづくり工学科, 教授 (90259838)
|
Keywords | プラズマ・核融合 / イオン源 / シースポテンシャル / カスプ磁場 |
Research Abstract |
負イオン源内のプラズマは、壁での損失を抑えるためにカスプ磁場により閉じ込められているが、一部のプラズマ粒子は磁力線に沿って運動し壁で損失する。従って、プラズマ損失領域の幅(カスプ損失幅)を知ることは、プラズマの閉じ込めにおいて重要である。電子エネルギーのカスプ損失幅は、熱伝達係数(粒子束と電子温度の積に対する熱流束の比)に依存することが解析的に示されており、熱伝達係数は壁表面近傍のプラズマに形成されるシースポテンシャルに依存している。従って、負イオン源においてカスプ損失幅を解析する上で、壁近傍でのシースポテンシャルの役割は重要である。しかし、カスプ損失幅の解析において、これまで壁での境界条件として磁場が無い場合のシース条件が用いられてきた。従って、カスプ磁場がある場合のシースの状態を解析しその境界条件の下でカスプ損失幅を求める必要がある。 シースポテンシャルについては、磁場が無い場合または磁場の強さが壁に向かって減少する場合について、壁近傍でのポテンシャル分布が解析的に求められている。しかし、カスプ磁場のように磁場の強さが壁に向かって増加する場合のポテンシャル分布は未だ明らかになっていない。本研究では、磁場が壁に向かって増加する場合について、プラズマ領域およびシース領域の両方において成り立つプラズマーシース方程式を導出し、これをプラズマから壁まで自己矛盾無く解くことにより、壁近傍におけるポテンシャル分布を求めた。この解析により以下の結果を得た。 (1)壁近傍での磁場の増加が大きい場合、プラズマ領域におけるポテンシャルドロップは減少する。 (2)電子温度に対するイオン温度の比が小さい場合、プラズマ領域におけるポテンシャルドロップは減少する。 これらより、ポテンシャル分布が磁場の分布および電子温度とイオン温度の比に依存することを示した。
|