2009 Fiscal Year Annual Research Report
有限温度格子QCDによるチャーモニウム消失温度の研究
Project/Area Number |
19549001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
梅田 貴士 Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 講師 (40451679)
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Keywords | 格子QCD / QGP / チャーモニウム |
Research Abstract |
この研究ではチャームクォークと反チャームクォークの束縛状態であるチャーモニウム(特にJ/Ψ, X_c,Ψ'状態など)がクォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)相中で、それぞれが散乱状態としてバラバラになってしまう「チャーモニウム状態の消失温度」を有限温度格子QCD数値シミュレーションによって求める事を目的としている。これらチャーモニウムの消失温度は重イオン衝突実験でのQGP生成を示す重要なシグナルの一つである「J/Ψ抑制」のシナリオを議論する上で必要となるパラメータである。 今年度はクエン値近似での計算をまとめると共に、有限温度でのチャーモニウム状態を規定するスペクトル関数の新しい計算法について検討した。これまでに行った対角化の手法を用いて、各エネルギー状態でのスペクトルウェイトの算出を行う事ができる。 さらにfull QCD計算の為に有限温度ゲージ配位の生成を引き続き行った。この計算ではCP-PACS/JLQCDによって行われたゼロ温度でのメソンスペクトラムの研究で採用されたパラメータを用いている。これらはそれぞれ8000traj.ほど生成され、相転移温度や重いクォーク間の自由エネルギーなどを計算し、チャーモニウム消失温度に関する議論を行った。さらにチャーモニウム消失温度に関連深い状態方程式の計算の為にベータ関数やTrace anomalyの計算なども進めている。状態方程式の結果とチャーモニウム消失温度の結果を合わせて議論することによってクォークグルーオンプラズマの理解がさらに深まると考えられる。
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