2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタノイド合成酵素による反応機構に関する理論的研究
Project/Area Number |
19550004
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
森 聖治 Ibaraki University, 理学部, 准教授 (50332549)
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Keywords | トロンボキサンA合成酵素 / プロスタサイクリン合成酵素 / シトクロムP450 / 密度汎関数法 / 一電子移動 |
Research Abstract |
本研究では, プロスタノイド合成酵素であるプロスタグランジン(PG)D_2合成酵素(PGDS)、PGE_2合成酵素(PGES), プロスタサイクリン合成酵素(PGIS), トロンボキサンA_2合成酵素(TxAS)による、PGD_2, PGE_2, PGI_2, TxA_2の生合成反応機構を, 密度汎関数法などの計算化学的手法を用いて明らかにする. これらの生合成反応は生化学的、薬学的、医学的に重要な反応であり、反応機構の解明により、化学だけでなくその周辺分野の波及効果は大きい。また、今回検討した反応は、シトクロムP450の反応の中でも特異的に酸素と還元剤を必要としない。本年度の成果は以下の通りである. (1)トロンボキサンA_2の生合成反応機構 : トロンボキサンA_2の生合成のモデル反応機構をUB3LYP密度汎関数法により検討した. シトクロムP450モデルは、鉄-ポルフィリン錯体にSH-がアキシアル配位したものである。シトクロムP450モデルありとなしのケースで比較し、シトクロムP450なしでは、立体的にひずみの大きいトロンボキサンA2が生成せずに、マロンジアルデヒドに分解することを示唆する結果を得た。 (2)プロスタサイクリンの生合成反応機構 : シトクロムP450による、プロスタグラシジンH_2からプロスタサイクリンの生合成の異性化モデル反応機構をUB3LYP密度汎関数法により検討した. トロンボキサン生合成と同様に、プロスタグランジンH_2の酸素一酸素ホモリティッタ開裂がFe(III)により起きることを示した。また、一電子移動を経由することを示した。
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Research Products
(7 results)