2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタノイド合成酵素による反応機構に関する理論的研究
Project/Area Number |
19550004
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
森 聖治 Ibaraki University, 理学部, 准教授 (50332549)
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Keywords | プロスタグランジンD_2合成酵素 / プロスタグランジンE_2合成酵素 / プロスタサイクリン合成酵素 / シトクロムP450 / UB3LYP密度汎関数法 / 反応機構 / 鉄-ヘム錯体 / エンドペルオキシド |
Research Abstract |
本研究では,生化学的、薬学的に重要な酵素によるプロスタノイド類の生合成反応機構を,密度汎関数法などの計算化学的手法を用いて明らかにする.本年度の成果は以下の通りである.(1)アレルギー反応に関与する造血器型プロスタグランジンD_2合成酵素(PGDS)では、グルタチオンがチロシン残基によって脱プロトン化すること、その周りの水分子は、チロシン水溶液ほどの親水的な環境ではなく疎水的な環境にあることを紫外共鳴ラマンスペクトルと、量子化学計算の2つの方法によって明らかにした。また、プロスタグランジンD_2合成酵素(PGDS)あるいはプロスタグランジンE_2合成酵素(PGES)による、グルタチオンモデルであるメタンチオラートイオンのエンドペルオキシドへの攻撃の反応機構で、チオラートイオンがエンドペルオキシド酸素に求核攻撃した後に、OH^-がプロトンを引き抜く過程を検討し、リーズナブルな活性化エネルギーで進行することを示した。(2)プロスタサイクリンの生合成反応機構:シトクロムP450(プロスタサイクリン合成酵素、PGIS)によるプロスタサイクリンの生合成のモデル反応機構をUB3LYP密度汎関数法により検討した.三価の鉄を経由するよりも、酸素-酸素のホモリティック開裂によりいったん四価になってから、オレフィン部位へのラジカル付加による炭素ラジカルの生成,炭素ラジカルから鉄への一電子移動により三価にもどる経路のほうがエネルギー的に安定であることを示した.また、一電子移動とプロトン移動が同時に起きることを分子軌道解析によって明らかにした。
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Research Products
(8 results)