2008 Fiscal Year Annual Research Report
カルボニル化合物の新しい光化学反応;レーザー光分解法によるω解離過程の研究
Project/Area Number |
19550005
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山路 稔 Gunma University, 大学院・工学研究科, 准教授 (20220361)
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Keywords | レーザー光分解法 / 過渡吸收 / ω解離反応 / DFT計算 / 三重項光増感 / ベンゾフェノン / 三重項エネルギー移動 / リン光測定 |
Research Abstract |
4クマリニルメチル誘導体を合成し、レーザー光分解法を用いて過渡吸収を測定することによりそれらの光化学的性質を明らかにした。 準備した化合物に関して、三重項エネルギー準位を決定するために77Kにおいて剛性溶媒として用いてヶイ光分光計にて発光を測定し、発光スペクトルより三重項エネルギーの決定を行っだ。光分解用の試料は、化合物の有機溶媒溶液を1cm角のスプラジル石英セルに入れ、現有の高真空脱気ラインで溶存酸素を除去・融封して試料を作成した。これらのサンプルに対し、ナノ秒のNd:YAGレーザーおよびXeClエキシマーレーザー(308nm)を用いて直接または増感剤を用いた光照射を行い過渡吸収を測定した。過渡吸収シグナルはモノクロメーターで分光され、速度解析および吸光度変化の基本データを得た。また、フォトダイオードアレイを用いて一度のレーザーパルス照射で300nm〜800nmの波長領域のナノ秒時間領域での過渡吸収スペクトルを観測した。その結果、炭素-イオウ結合を有するクマリン誘導体ではベンゾフェノンを用いた三重項光増感によりクマリニルメチルラジカルが観測されたことから三重項でω解離を起こすことを見いだした。そして初期反応生成物の量子収率を決定した。また、計算機を用いた量子化学計算により結合エネルギーと三重項におけるω解離ポテンシャルエネルギーを算出し解離の活性化エネルギーを見積もった。以上の実験と計算の結果より、準備したクマリン化合物のω解離反応性は結合エネルギーの大きさでは無く解離ポテンシャルによる活性化エネルギーの大きさが支配していることを明らかにした。
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