2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550012
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
益田 祐一 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (20181654)
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Keywords | 分子内水素結合 / プロトン移動速 / 溶媒効果 / 核磁気緩和 |
Research Abstract |
・single well, low barrier double well, double wellのproton transfer(PT)ポテンシャルが予想される、dibenzoilmethane(DBM),1-benzoyl-6-hydroxyl-6-phenylfluvene (Fulvene),benzoicacid dimer (BA dimer)選び、水素結合構造及びそのプロトンdynamics およびその溶媒効果の計測のため、^<17>O濃縮試料を用いた、種々の核磁気緩和時間の測定を行った。その結果、25℃ヘキサン中では、BA dimerのプロトン移動速度τ_<PT>(=k_<PT>^<-1>)は、>>10^<-11>s、一方、 DBMでは、そのプロトンは2つの酸素原子のほぼ中間で非局在化していることが判明した。Fluvenにおいては、同条件でそのτ_<PT>は、7x10^<-12>sであると結論された。これは、溶液内での分子内PT速度を決定した初めての例である。(この成果については投稿中)また、fluveneに対する、アセトニトリル、四塩化炭素などの異なる溶媒中での測定の結果を総合すると、PT速度を決定する要因は、溶媒和のゆらぎのダイナミックスではなく、溶媒によるPTポテンシャルの変形に伴うトンネルカップリングの変化によるものであることが示唆された。 ・シッフ塩基の2つの互変異性体間の自由エネルギー差の異なる3つの誘導体に関して、窒素-15ラベル体を合成し、その^<15>N-^1Hスピン結合定数から、互変異性平衡定数を決定するとともに、種々の核磁気緩和の測定から、水素結合構造及びそのプロトンdynamicsについて調べた。その結果、プロトン移動速度は、置換基の電子的効果、あるいは、立体的効果によるN...O距離の圧縮の効果を極めて鋭敏に反映し、τ_<PT>は10^<-12>s-10^<-10>sにわたり幅広く変化することが判明した。
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