2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19550016
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲葉 章 Osaka University, 理学研究科, 教授 (30135652)
|
Keywords | 秩序と乱れ / 精密熱測定 / 重水素化 |
Research Abstract |
分子がもつ対称性や結晶がもつ場の対称性は,実験的には主として構造研究や分光学的研究によって調べられてきた.しかし,バルクの熱力学的性質に対称性が劇的に反映されることが少なく,熱物性としてはあまり注目されてこなかった.一方,次元性の問題は磁性研究を中心に理論的に体系化されており,熱力学的性質についても研究が及んでいる.しかし,磁性を伴わない系の次元性については,実験的にもあまり注目されてこなかった.本研究では,対称性の問題が熱物性に顕著に現れる分子系を探索し,これを実験的に研究することを目的とした.また,その際,次元性も含めた対称性に注目した. 1)酢酸リチウム2水和物 メチル基を部分的に重水素化した試料について,それぞれ極低温での(0.35K以上での)熱容量を測定した.これには,研究室既設の緩和型熱容量測定装置を用いた.すでに行われた中性子回折実験(構造研究)と中性子散乱実験(ダイナミクス研究)の結果を合わせ,相転移のメカニズム,エネルギー準位を解明した. 2)ガンマピコリン メチル基を部分的に重水素化した試料について,それぞれ0.35K〜300Kの範囲で熱容量測定を行った.酢酸リチウム2水和物とは異なり室温で液体であるため,緩和型熱量計のための液体試料容器を考案・製作した. 3)ハロゲノメジチレン 一連のハロゲン(Cl,Br,I)置換体試料について熱容量測定を5〜400Kの温度域で行った.注目したのは分子全体の配向の乱れに伴う相転移と低温でのガラス転移であった.
|
Research Products
(4 results)