2007 Fiscal Year Annual Research Report
光・光二重共鳴法を利用した高選択的高分解能レーザー分光計測システムの開発と展開
Project/Area Number |
19550017
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
笠原 俊二 Kobe University, 分子フォトサイエンス研究センター, 准教授 (00260646)
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Keywords | 高分解能分光 / ドップラーフリー / 光・光二重共鳴法 / 高性能レーザー / 超精密計測 |
Research Abstract |
現有の波長可変単一モードレーザーと紫外光発生用外部共振器との組合せで単一モード紫外レーザー光を得た。これを励起光源として、ドップラーフリー偏光分光法および光・光二重共鳴偏光分光法による高選択的高分解能吸収スペクトルを観測することに成功した。システムの改良により、波長領域を拡張するとともに、感度の向上に成功した。その結果、ナフタレンの励起状態(S_1)についてより高いエネルギー領域の観測に成功し、相互作用に関する知見を得た。特に、多原子分子は準位密度が高いためにもどもと複雑なスペクトルを示すが、相互作用によってエネルギー準位にシフトが生じると、解析が不可能になることも多い。このような場合は、2台目の単一モード紫外レーザーを用いて光・光二重共鳴法を利用することで確実に帰属を行うことが可能となる。本研究では、室温セル中のナフタレン分子について、S_I←S_o遷移の振動エネルギーが1422cm^<-1>の振電バンドをドップラーフリー偏光分光法ならびに光・光二重共鳴偏光分光法による超高分解能分光を行い、広範囲にわたる回転線の帰属に成功し、高次の項まで正確な分光定数を決定することができた。特に、帰属が困難であった領域について、光・光二重共鳴法を利用することで微小なエネルギーシフトを見出し、状態間相互作用に関する知見を得た。また、従来の分子線を利用した励起スペクトルの測定や二光子吸収法などのドップラープリー分光法によるベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ジベンゾフランなどの高分解能スペクトルの観測と磁場によるスペクトル変化の測定も引き続き行い、励起状態の構造とダイナミックスに関する詳細な知見を得ることができた。
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