2008 Fiscal Year Annual Research Report
光・光二重共鳴法を利用した高選択的高分解能レーザー分光計測システムの開発と展開
Project/Area Number |
19550017
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
笠原 俊二 Kobe University, 分子フォトサイエンス研究センター, 准教授 (00260646)
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Keywords | 高分解能分光 / ドップラーフリー / 光・光二重共鳴法 / 高性能レーザー / 超精密計測 |
Research Abstract |
前年度より引き続き、現有の波長可変単一モードレーザーシステムと各種ドップラーフリー分光計測システムを用いて、励起分子の超高分解能レーザー分光を行い、分子構造や励起状態における相互作用などについての詳細な知見を得た。特に、ドップラーフリー偏光分光法および光・光二重共鳴偏光分光法による高選択的高分解能吸収スペクトルの観測によって、室温セル中のナフタレン分子の励起状態について、広範囲にわたる回転線の帰属に成功し、高次の項まで正確な分光定数を決定することができた。この手法を用いることで、帰属が困難であった領域について、微小なエネルギーシフトを見出し、状態間相互作用に関する知見を得た。また、従来の分子線を利用した励起スペクトルの測定や二光子吸収法などのドップラーフリー分光法によるベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ジベンゾフランなどの超高分解能スペクトルの観測と磁場によるスペクトル変化の測定も引き続き行い、励起状態の構造とダイナミックスに関する詳細な知見を得ることができた。これらの分子について、磁場によるスペクトルの変化は非常に小さく、それぞれ同様の回転最子数依存性が見られた。その結果、磁気モーメントは分子の面外方向(ベンゼン環に垂直な方向)を向いており、S_2とのカップリングによって生じていることを明らかにし、三重項状態との相互作用に起因する項間交差はほとんど起きていないと結論した。また、新たにアズレンのS_2状態の超高分解能スペクトルの観測に成功し、分子構造と励起状態ダイナミックスに関する重要で新しい知見を得た。
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Research Products
(14 results)