2007 Fiscal Year Annual Research Report
分散・懸濁系での天然抗酸化剤の活性酸素消去とスピンダイナミクス
Project/Area Number |
19550019
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小原 敬士 Ehime University, 理工学研究科, 准教授 (10284390)
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Keywords | 生体分子 / 抗酸化 / 活性酸素 / 一重項酸素 / 懸濁系 / 近赤外発光 |
Research Abstract |
本研究は、光学的な透明性が得られない分散・懸濁液中において、複数の天然抗酸化剤が含まれる多成分系の活性酸素種消去過程について速度論的研究を行い、その詳細を解明することを最終目的とする。蛍光検出ストップトフロー法・時間分解ESR法・一重項酸素(102)近赤外発光寿命法などの光学的透明度の影響が〓ない時間分解法で、系内のフリーラジカル・102などの反応成分、あるいは指標物質の濃度の時間変化を直接追跡することにより、天然抗酸化剤の抗酸化過程に含まれる複雑なスピンダイナミクスの検討を試みている。生体膜界面付近で起こる抗酸化過程をイメージし、活性酸素種・抗酸化剤の溶存状態や反応場へのアクセス等の相違による抗酸化過程の変化について注目する。本年度は以下の研究を行った。 ・可視域に強い吸収を持つ有機色素の102消去活性測定を可能とするため、近赤外蛍光寿命測定装置に紫外光励起用Nd-YAGレーザー(355nm)を導入した。また、ナノ秒レーザー時間分解分光コントローラ(本設備備品費で購入)の導入により、過渡吸収と時間分解ESRを同一条件で測定可能とし、複合的なアプローチによる分散・懸濁系での抗酸化過程の検討を可能とした。 ・266nm光励起による天然ビタミンEの均一溶液系・懸濁液系での直接光分解について、過渡吸収法と定常及び時間分解ESR法を用いて同一条件で検討し、中間体ラジカル種の同定と生成・消滅ダイナミクスについて検討し、中間体ラジカル消滅過程3種の存在と各過程に油滴形成が与える影響を明らかにした。・懸濁液系及びミセル系での102発光寿命の直接観測を行い、油滴形成が102寿命を増大させる特異な挙動やミセル形成に伴う102挙動の変化を観測することに成功し、その成果を学会及び学術誌に発表した。
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Research Products
(8 results)