2008 Fiscal Year Annual Research Report
常温イオン液体を吸着剤とした分子性液体の吸着・吸収挙動と構造
Project/Area Number |
19550022
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
高椋 利幸 Saga University, 理工学部, 准教授 (70291838)
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Keywords | イオン液体 / メタノール / ベンゼン / 不均一混合 / 会合体 / 小角中性子散乱法 / 水素結合 / π-π相互作用 |
Research Abstract |
アルキル鎖長n=4-12の1-alkyl-3-methylimidazolium C_nmim^+を陽イオンとし、bis(trifluoromethanesulfonyl)amide(TFSA^-)を陰イオンとしたイオン液体とメタノールおよびベンゼンとの混合状態をNMR化学シフト、赤外吸収スペクトル、小角中性子散乱(SANS)測定により明らかにすることを目的とした。 1.イオン液体-メタノール混合溶液に対する1^H,<13>^C NMR化学シフトのモル分率依存性には、メタノールモル分率x_M=0.7付近に変曲点が現れた。 2.同溶液に対するATR-IRスペクトルに観測されるメタノール分子の水素結合性O-H伸縮振動についても、その面積強度のモル分率依存性にx_M=0.7付近で変曲点が観測された。 3.1および2の結果は、x_M=0.7以上の混合溶液中でイオン液体が会合体を形成することを示唆した。 4.SANS実験によりメタノール混合溶液中におけるイオン液体の会合体形成を実証した。 また、会合体形成はイオン液体のアルキル鎖長が長いほど顕著であることが明らかになった。この不均一混合はメタノールがつくる親水的な雰囲気に疎水的なイオン液体が会合体を形成することに由来すると結論した。 5.C_nmim^+TFSA^-系イオン液体は、常温においてn=12の場合のみベンゼンと任意の割合で混合するが、その混合はSANS測定で顕著な小角散乱強度が観測されるほど不均一であることが明らかになった。この不均一性はイミダゾリウム環とのπ-π相互作用を越えた過剰のベンゼン分子が自己会合するためであることを考察した。
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Research Products
(22 results)